交通事故による脳脊髄液減少症について

文責:院長 柔道整復師 市原 睦夫

最終更新日:2023年09月28日

1 脳脊髄液減少症の症状

 脳脊髄を衝撃から守るクッションの役割を果たしている脳脊髄液が、何らかの原因で漏れ出したり減少したりすることで、頭痛やめまい、吐き気、全身の倦怠感、記憶障害などのさまざまな症状を発症します。

 交通事故で強い衝撃を受けたことが原因で、脳脊髄液が減少し、脳脊髄液減少症を引き起こすケースもあります。

 交通事故後に不調を感じたら、お身体を安静に保ち、お早めに通院されることをおすすめします。

2 大人と子どもで異なる特徴があります

 脳脊髄液減少症は、同じ日でも時間帯によって症状の程度の変化が大きく、症状が軽いときは、お身体に何ら問題がないと見えてしまうことも少なくありません。

 特に、子どもの脳脊髄液減少症は、小学生、中学生、高校生と、成長の過程によって対処の仕方や問題点が異なり、大人の診断方法が当てはまりにくいとされていますので、注意が必要です。

 以下で、成長過程による特徴の違いをご説明いたします。

 

⑴ 小学生
 自分の症状を表現する力が未熟な傾向にあります。

 よほどひどい頭痛がない限り、脳脊髄液減少症と気付きにくいのが特徴です。

 ご家族の方や養護教員など、周囲の大人が注意深く観察してあげることが必要です。

 お身体への負担を考え、保存療法(臥床安静・水分補給)で回復させていくことが望ましいとされています。

 

⑵ 中学生
 交通事故だけでなく、体育の授業や部活が原因で発症する機会が増えます。

 また、急激に身長が伸びる年齢でもあるため、起立性調節障害を併発することもあります。

 欠席日数が増えることで、高校進学が難しくなることが大きな問題となっています。

 

⑶ 高校生

 中学生と同様の傾向にありますが、より大人に近い年齢となっているため、脳MRI、CTなどで診断できるケースが増えてきます。

 高校では欠席日数や単位不足により、進級や卒業に影響が出ることがあり、それに伴い通院を我慢してしまう生徒も多くいるようです。

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