交通事故の損害賠償について

文責:院長 柔道整復師 市原 睦夫

最終更新日:2022年09月08日

1 被害者が請求できる損害賠償の種類

 交通事故の被害者が請求できる損害賠償は、大きく分けると「精神的損害」と「財産的損害」があります。

 精神的損害には、「入通院慰謝料」「後遺障害慰謝料」「死亡慰謝料」が含まれます。

 財産的損害は、さらに細かく「積極的損害」と「消極的損害」があります。

2 交通事故による消極障害について

⑴ 消極的損害とはどのようなものか 

 交通事故で怪我をすると、仕事にも影響が出てしまいます。
 例えば、骨折や、それによる車イスでの生活によってパートの仕事を休まなければならなかったとすると、その分の収入が減ってしまいます。
 このように、事故に遭わなければ、被害者が将来得られたと予測される収入の喪失のことを 消極損害といいます。
 もっとわかりやすく説明すると、「事故によって稼ぐことができなくなったから、本当だったら働いて稼げるはずだった収入についても払ってね!」ということです。

 

⑵ 具体的には3つに分かれます

A. 休業損害 ( 仕事を休んでしまった分の損害 )
B. 後遺障害慰謝料 ( のちのちにまで残ってしまった障害に対する慰謝料 )
C. 逸失利益 ( 事故で失った利益 )
 例えば、交通事故にあって怪我をし、それによって仕事をすることができなかった場合、休業損害という損害が発生します。
 その怪我が治らずに後遺症として残ってしまったら、後遺障害に対する慰謝料なども支払わなければならないということです。
 また、被害者が死亡した場合は、その家族などが死亡による逸失利益を損害として請求することができます。

 

⑶ 休業損害をより具体的に説明すると

 わかりやすく説明すると、アルバイトで月に20万円稼いでいたけれど、交通事故で1か月間働けなくなってしまいますと、その分の収入はありません。

 この減ってしまった収入分を加害者側に請求して払ってもらう仕組みのことを「休業損害」といいます。
 どのように計算するのかというと、給料明細や収入証明をもとに、事故日より過去3か月間の給料の平均から計算します。
 たとえば、4月の頭に事故に遭ったら、その年の1月~3月の収入をもとに計算するわけです。
 ちなみに、この収入には 各種手当てや賞与(ボーナス)も含めることが出来ます。

 また、出世に影響した場合は、昇給遅延による減収額 も請求することが可能です。
 しかし、どの保険を使うかによって貰える額も変わってきます。

 全額認められるものもあれば、「○割りのみ 」と一部しか受け取れないものもありますので、このあたりもしっかりと確認してください。
 しかし、もし休業していても、収入が減っていなければ、休業損害を請求することはできません。

3 交通事故による積極損害について

 交通事故で怪我をすると多くの場合は通院をして治療をしたり、場合によっては入院をすることもあります。

 その際に、被害者が実際に支払った費用(実費)や、今後 確実に支払うことになる費用のことを積極損害と言います。
 基本的に請求出来る項目は決まっているのですが、何が請求できるのかは専門家でなければわからないことが多いです。
 そのため、専門家に相談するまでは 「 事故に遭わなければ支払う必要のなかった費用は全額請求する 」というつもりでいると、請求漏れもないと思います。
 例えば、車椅子を使うことになったことで 家の出入り口や廊下、お風呂場、トイレ、車などを改造する必要があれば、その費用も請求できることも出来ます。

 また、看護に必要なベッドやイスの購入費も請求が可能です。
 さらに、子供の学習費や保育費も請求することが可能な場合もあります。

ただし、怪我の度合い・年齢・家庭状況を考慮して判断されます。
 つまり、交通事故の被害によって発生した費用であれば、請求が認められることがあるわけです。

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